オジサンのよたよた話し


ティダアパアパ

ちょっと、インドネシア語の話しをしてみよう。
インドネシア語の記述は、アルファベットを発音に従ってあてはめている。だから、文字の通りにローマ字読みすれば良い。ただし、"C"は、「ち」である。「ちの」さんなら、"cino"と書く。それでは・・・。

今は、どこのトイレも、たいていは英語で男性・女性と書いてある。しかし、以前は、インドネシア語が多かった。インドネシア語では、男性は"Lakilaki"と言う。この頭文字の「L」がトイレのドアに書いてある。ちなみに女性は「P」である。私達(男性)は、「L」の文字を見ると反射的に女性用だと勘違いする。そして、反対側のドアをあけてしまう。ジャ~ん!

次は、有名な話し。インドネシア語で茶碗のことは、「mangkok」と呼ぶ。最後の"k"は、聞こえない。発音してみましょう。インドネシアに来た奥様達が、女中に「茶碗を持って来て」と叫ぶ時に、だいたいは躊躇する。ちなみに、指輪のことを"cincin"と言う(上の注釈に従って、発音して下さい)。

英語を知っていると間違えるのが"air"。これは、空気ではない。アイルと読んで「水」のこと。ちなみに、ホームタウンのことは"tanah air"(水の土地)と呼ぶ(このへんがアジアである)。皆が良く知っている単語では、"orang utang"(オラン・ウータン=森の人)。これを、ちょっと変形すると、"orang kampung"(オラン・カンポン=田舎の人=田舎もん!)になる。インドネシア語で、面白いのは、数学の2乗の表現を良く見かけることだ。例えば、「心臓」は、"hati"である。道路工事なんかの場所に、"Hati2"と書いてある。これは、"Hati-Hati"と読んで、「気をつけて」という意味(気持ちはわかるでしょ)。日本の雑誌に、"Jalan"(ジャラン)というのがあるが、これは、「○○通り」(道)の意味。これを、"jalan-jalan"と重ねると、「散歩する」の意味になる。他にも、「ナシ・ゴレン(ナシがご飯で、ゴレンが炒める)」とか「ドリアン(刺のあるもの)」とかは、たいていの人が知っている単語だろう。

友人の失敗。インドネシアでは、コーヒーには、たっぷり砂糖が入ってくる。友人は、砂糖抜きのコーヒーが飲みたかった。インドネシア語で、「・・・抜き」は、"tanpa"である。砂糖は"gula"である。反対に、「追加する」という言葉は、"tambah"である。アルファベットで書くと、違いがわかるかも知れない。しかし、日本人は、"n"と"m"の子音の区別があまり得意ではない。
彼は、「タンパ・グラ」と、オフィスのボーイに注文した。砂糖の入ったコーヒーが出てきた。そこで、もう一度、「タンパ・グラ」と叫んだ。すぐに、コーヒーが下げられて、再び出てきた時は、もっと甘くなっていた。そこで、彼は、また叫んだ「タンパ・グラ」。かくして、コーヒーは、砂糖の堆積に変わって行った。まわりに居た人間は、笑いをこらえるのに必死であった。

私が、困った話し。私は、昔から肩凝りがひどい。だから、按摩屋さんが欠かせない。インドネシアで、按摩を何と言うか知らなかった。そこで、「マッサージ」という言葉を使った。確かに、町には、「マッサージ」と書かれた看板を時々見掛ける。タクシーの運チャンに「マッサージ屋」知らないかと言えば、すぐに連れて行ってくれる。しかし、これが問題なのだ。若くて可愛いお姉ちゃんが、ずらりと並んでいる店へ案内される。ほとんど按摩とは呼べない結果となる。日本的な意味での按摩屋さんという単語「ピジェット(pejet)」("e"はアルファベット通りの読みではないので注意)を知ったのは、だいぶたってからである。
その後、経験的に分かったことは、按摩屋さんを探す時は、女性に聞くのが一番だということ。タイやベトナムでも、ちゃんとした按摩屋さんをみつけるには、会社の女性秘書さん達の評判を聞けば良い。彼女達が、いい店だと推薦してくれた所なら、清潔で良い按摩屋さんに出会うことが出来る。

「気にしない、気にしない」という言葉がある。英語だと、"Don't mind !"といったところだろうか。インドネシア語では、"Tidak Apa-apa"と言う。日常会話では、非常に良く使われる。しかし、状況次第では、ちょっとニュアンスが異なる。
家で、女中が、茶碗を割ってしまった。女主人が大切にしていた茶碗だったりする。常識的に考えると、女中が謝って、主人が「ティダアパアパ」となぐさめる。「気にしない、気にしない」という意味だと、こうなるはずだ。しかし、実際には、茶碗を割った時に「ティダアパアパ」と言うのは、女中の方だったりする。「気にしない、気にしない」と言われた(日本人の)女主人は、だいたいが腹を立てる。自分の茶碗を壊しておいて「何が気にしないだ!」と怒る。
しかし、彼女は、とても優しく話しているのだ。茶碗を壊したくらいで、「気にして」イライラしたり、腹を立てたりするのは損ですよ。もっと、ゆったりした方が、あなたのためです。そう言いたくて、彼女は「ティダアパアパ」と言っている。
*) タイ語では、「マイペンライ」である。なんかの時に、参考に。

【1分間で覚えるインドネシア語講座】
ついでだから、インドネシア語必修単語というのをあげておこう。たった4つの単語で、インドネシア旅行は、完璧という単語である。
  1. "tidak"(ティダ):英語の"not"で、否定する時に使う(正確には、動詞や形容詞などの否定で、名詞の否定形は違うけど、まあそんな面倒は最初は覚えなくても大丈夫)。
  2. "bisa"(ビサ):英語の"be able to"で、「出来る」という意味。
  3. "boleh"(ボレ):英語の"may"か"be allowed (to)"に相当しており、なんかして「いい」という意味。
  4. "Terima kashi"(テリマカシ):「ありがとう」
どっかへ行きたいなら、バスの運転手に地図を見せて、「行くことできる?(bisa?)」と聞けば、うなずいてくれるか首を振るかで分かるでしょ。ホテルだって、フロントで「できる?(bisa?)」と言えば、部屋が空いていて泊まれるか(泊まることが出来るか)どうか聞いているんだなって、誰でも分かります。値段の交渉だって、数字を示すか、お金をだして、「これでいい?(boleh?)」と聞けば、意志は通じます。この建物へ入って「いい?(boleh?)」とか・・・。
日常会話は、身振りを示しながら、これ「できる?(bisa?)」とか、これ「していい?(boleh?)」とか、これ「できない?(tidak bisa?)」、これ「やったら駄目?(tidak boleh?)」とやれば、なんとかなるもんです。意志が通じたら「テリマカシ」と言いましょう。簡単でしょ。
はい、この4つの単語で、あなたはインドネシア語が話せます。旅行の心配はありません。

(もっと知りたい人のために辞書を用意しておきました)
オジサンのインドネシア語辞書

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