オジサンのよたよた話し


禁煙のしかた

「お前にだけは言われたくない」と思うことってありませんか。そうなんです。私は、時々友人に言われます。「お前が言っているのは正しいかも知れない。しかし、お前にだけは言われたくない。別の奴が話したと思って聞くことにしよう」。そんなわけで、誰か別の人が話したと思って聞いて下さい。

これまで30年以上、私は1日に3~4箱の煙草を消費していた。救急車で病院へ運ばれた時にも、救急隊員の目を盗んで煙草をしっかり握り締めた。お医者さんから絶対に禁煙と言われながらも、病院の外へ抜け出して煙草を吸っていた。そんな経験のある人は、きっと多いに違いない(絶対にそう思う!)。
そんな私が、1年以上禁煙したことがある。1ヶ月とか3ヶ月なら、まぁ何とかいつでも禁煙できるぞというコツが身についてきた(そりゃあんた禁煙と呼ばないよ、と言う人も居るだろうが・・・)。そのコツを教えてあげましょう。

まず大事なことは、煙草を周りから隠さないこと。吸いかけの煙草が残っていても、禁煙の決断をしたら、全部吸ってから止めようとか、箱ごと捨ててしまおうなんて考えを持たないこと。煙草やライターを捨ててみても、その気になれば簡単に手に入る。煙草の旨さを忘れようなんて無駄な努力はしないこと。自分は、煙草を止めるのだという意志を、ゆ~たりと持って、目の前の煙草を眺めていられるようになれば、禁煙成功間違いなし。

まぁそのためには、煙草の前で七転八倒しますけどね。初日がつらい。次に、何事も同じだが三日目がつらい。3週間目あたりも山場。しかし、このあたりを越えると、何とか我慢できるようになってくる。禁煙3ヶ月を越えると、ニコチン中毒はほぼ完全に抜けて来て、身体は要求しなくなる。しかし、頭は煙草の旨さを覚えている。これから先は、このまま人生の中で煙草の楽しみを捨ててしまうかどうかという決断にかかってくる。私の場合は、13ヶ月続けたところで、体重が20キロ増えてしまったので、泣く泣く身体のためを考えて、禁煙を諦めたのであった。

そもそも禁煙の始まりは、歯の治療のためだった。しかし、1年以上の禁煙は、ちょっとしたきっかけが始まりだった。
歯の手術の前後で1ヶ月とか2週間程度の禁煙を求められていた。歯への巨額の投資を無駄にしたくないので、七転八倒しながらも禁煙を守っていた。そんな時に、古い友人のS君がふらりとやってきた。私と同じ位の歳で、道路の向かいにオフィスを構えていた。昔からいつも両切り煙草のピース缶を持ち歩いているヘビースモーカーである。「もう1ヶ 月間禁煙しているよ。1年後に煙草を吸ってたら10万円ってことで」と言うと帰って行った。(あいつに負けないぞ、などといった闘争心は、これっぽっちも持たずに・・・)彼に「あんたは、意志が弱いねぇ」という自慢をさせるようなことが起きては、彼の将来に良い影響を及ぼさないだろうという親心が出てしまった。
約束の期限を過ぎたら、彼はすっかり元のヘビースモーカーに戻っていた。私は、自分の体重を考えて、友人に付き合うことにした。

ここに記載された内容は、どのような形でも、引用することも、ストリー展開を真似ることも禁止します。これを完成させるのが、老後の楽しみなのです。 Copyright (c) 1998 ojisan